一戸建て賃貸や賃貸マンションの契約をおこなう際、定期借家という言葉を聞いたことがあるかもしれません。
しかし「定期借家とはなに?」「メリットやデメリットはあるの?」などと疑問に思う方もいるでしょう。
この記事では定期借家と普通借家の違いや、定期借家を利用するメリット、デメリットをご紹介します。
定期借家の使い方も併せて参考にしてみてください。
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そもそも「定期借家」とは?
定期借家とは契約期間が決まった物件のことで、1年未満の短期間でも契約できるのが特徴です。
定期借家という契約形態が誕生した理由は、土地所有者側が土地を貸していると資産として計算されないためといわれています。
賃貸契約をおこなう際に、定期借家か普通借家のどちらで契約するかを選べることで、貸主と借主の両方に新たな選択肢が生まれました。
定期借家制度の認知状況
国土交通省「2020年度住宅市場動向調査報告書」によると、民間の賃貸住宅を利用している方のうち定期借家制度を知っている、または名前だけは知っていると答えた方は合わせて36.1%と発表されています。
賃貸住宅を活用しているにも関わらず、定期借家を知らない方は6割超です。
つまり定期借家の認知度は低いと考えられるでしょう。
定期借家制度の利用状況
国土交通省「2020年度住宅市場動向調査報告書」によると、賃貸住宅を活用している方のうち定期借家で契約した割合は2.5%でした。
2016年まで調査結果を遡って利用状況を確認しても、2割前後をキープした状態で利用状況が増えている傾向も見られません。
9割以上の方は普通借家で賃貸契約を結んでいる現状からすると、定期借家の利用状況は極めて低いでしょう。
定期借家と普通借家の違い
定期借家とは借家の契約期間が決められた契約のことで、基本的契約更新されません。
普通借家であれば、借主が契約の延長を希望すれば住み続けられます。
そのため賃貸契約を結ぶ場合は、「何年住み続ける予定なのか」を考えてから契約しましょう。
その他にも違いがあるため、以下の表を参考にしてみてください。
定期借家 | 普通借家 | |
契約方法 | 公正証書による契約 ※更新がなく、期間満了によって契約が終了することを契約書とは別の書類にて交付する |
口頭でも書面でも可能 |
更新 | 原則、更新できない | 正当事由がない限り、更新される |
契約期間 | 1年未満も可能 | 原則1年以上で期間に制限はない ※ただし2000年3月1日以前に契約した物件は最長20年 |
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定期借家物件のメリット・デメリット
定期借家は、1年未満の短期契約ができるからこそのメリットやデメリットがあります。
例えば短期間の貸し出しのため、少しでも早く借主を見つけようと家賃や初期費用を安く設定している場合が少なくありません。
一方で、契約期間が決まっていることから、どんなに気に入った物件であっても契約満了になったら退去しなければならない点も注意が必要です。
どのようなメリットやデメリットがあるのか、詳しく確認しましょう。
定期借家物件のメリット
定期借家は1年未満の契約が可能なため、持ち家のリフォームやリノベーションなどの仮住まいとしても活用できます。
他にもあらかじめ期間が決まった転勤であれば、活用しやすいでしょう。
また定期借家は好条件の物件が多いことや、契約更新にかかる手間を省けることも特徴です。
まずは定期借家のメリットを見てみましょう。
短期間での契約が可能
定期借家は、1年未満の短期間であっても契約しやすいことがメリットです。
例えば持ち家のリフォームやリノベーション中の仮住まいとしても活用できたり、あらかじめ期間が決まっている転勤中の住居として利用したりと、短期間の居住地を確保したい方におすすめです。
普通借家の場合は1年以上の契約期間が基本となっているため、短期間の居住地としては利用しにくいでしょう。
住宅の質が高いケースが多い
定期借家として利用できる物件は、築年数の浅い物件や設備が整っている物件の場合が一般的です。
そのため普通借家として利用できる物件よりも、質の高い物件に住める可能性があります。
定期借家は貸主でもある大家さんが、転勤などで一時的に住宅を利用しない間のみ貸し出していたり、別荘やセカンドハウスを賃貸物件として活用していたりするケースが少なくありません。
そのため築年数の経った物件や設備が整っていない物件は、比較的少ない傾向です。
費用を抑えられる
定期借家は契約期間が決まっているため、少しでも早く借主を見つけようと家賃や初期費用、退去費用などを抑えているケースが珍しくありません。
例えば貸主が転勤の間のみ定期借家として活用しようと思った場合、少しでも早く借主を見つけなければ賃貸物件として利用できないのです。
そのため貸主は好条件で定期借家を貸し出している場合が多く、費用を抑えながら質の高い住居を見つけやすいでしょう。
契約更新の煩雑さがない
定期借家は原則的に契約更新がないため、契約更新に関わる面倒な手続きが発生しません。
契約更新は必要書類を提出したり、火災保険や保証の更新も必要になったりと、さまざまな手続きがあります。
他にも更新料が必要になることもあり、金銭面での負担もあるでしょう。
しかし定期借家は契約期間が満了になれば、そのまま契約終了となるため面倒な手続きをおこなわずに新たな住居へ移れます。
定期借家物件のデメリット
定期借家は普通借家とは異なり、原則契約更新ができません。
期間満了したら退去しなければいけないため、あらかじめ次の居住地を決めておく必要があります。
また契約期間内は原則途中解約できません。
途中解約を申し出た場合は違約金として残りの家賃を支払わなければいけない場合もあります。
そのため契約時には契約期間や途中解約について理解しておくことが重要です。
途中解約はできない
定期借家は1度契約すると、基本的に途中解約はできません。
そのため何らかの事情で途中解約を申し出たときは、違約金として残りの家賃を請求される場合があるため注意しましょう。
ただし転勤や介護、療養などのやむを得ない理由がある場合は、途中解約が認められるケースもあるため、契約時に確認しておくことが大切です。
契約期間満了と同時に退去しなければならない
定期借家は契約期間が決まっているため、契約満了になれば退去しなければいけません。
万が一「次の住居を見つけていないため退去できない」などの理由で退去に応じない場合は、損害賠償を請求されるケースもあるため注意しましょう。
ただし物件によっては再契約できるケースがあるため、契約時に「契約満了はいつになるのか」「再契約の可能性」などを確認しておくことが重要です。
定期借家物件の契約~契約満了までの流れ
定期借家を契約してから契約満了になるまでの流れは、以下のとおりです。
手順1.契約の締結
定期借家を契約する場合、貸主は借主に対して「契約更新がなく、契約満了によって契約が終了する」旨を、契約書とは別の書面で提示します。
仲介業者を通じて契約した際は、宅地建物取引業法に基づいて重要事項の説明を受けるのが一般的です。
手順2.契約期間中
一般的な普通借家と同様に、定められた入居日より居住を開始します。
契約期間が1年以上の場合、契約満了の1年前から6ヵ月前の間に貸主より「契約期間満了によって賃貸借契約が終了する」という旨が記載された通知が届くため確認しましょう。
手順3.契約満了
契約満了したら原状回復をおこない、退去します。
ただし事前に貸主と合意の元、再契約をおこなう場合は手順1である契約の締結からおこなうのが原則です。
定期借家の上手な使い方
定期借家は契約期間が決まっているため、住み続けることはできません。
しかし持ち家のリフォームやリノベーション、転勤など短期間の居住地を見つけたい方におすすめです。
また一戸建ての購入を検討している方が、定期借家で試験的に一戸建ての住み心地を試すこともできるでしょう。
実際に住む地域の近くで定期借家を利用すれば、地域の雰囲気や通勤のイメージなどもわかりやすくなります。
定期借家はライフプランに合わせて借りられるため、うまく活用すれば住みやすい住宅環境を整えやすくなるでしょう。
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定期借家は持ち家のリフォームやリノベーション、転勤など短期間の居住地を探している方におすすめの物件です。
契約更新は原則できませんが、費用を抑えながら質の高い物件を借りやすくなります。
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