修繕費用や原状回復費用の負担をめぐるトラブルに対処するために、東京ルールが制定されました。
東京ルールは、立場の弱い借主をサポートする意味合いが強く、居住用の賃貸物件のみに適用されます。
東京ルールが必要とされるようになった背景や、退去時・入居中の修繕に関する内訳などをご紹介します。
東京ルールとは?
東京ルールは、修繕費用や原状回復費用にまつわるトラブル防止を目的として、2004年に制定されました。
正式名称は、賃貸住宅紛争防止条例(東京における住宅の賃貸借に係る紛争の防止に関する条例)です。
条例では、借主の立場を保護するとともに、大家さんの所有物である賃貸住宅を大切に扱い、契約終了時にはきれいな状態で明け渡すことを喚起しています。
東京ルールが定められた背景
人口の流動性が高い東京では、実に全体の4割近い270万世帯が、民間が提供する賃貸住宅に居住しています。
そのため、契約や退去時の敷金精算・管理を主とする、賃貸に関する相談があとを絶ちませんでした。
問い合わせ対応が現実的に難しい現状から、賃貸を利用する人々の指針となる東京ルールの制定が進んだというわけです。
救急医療についての東京ルール
住宅関連以外にも、実は救急医療に関する東京ルールが設定されています。
人々の「もしも」のときに備える救急医療体制を整えるために、救急医療の東京ルールでは以下3つの規則を定めています。
- 救急患者の迅速な受け入れ
- 「トリアージ」の実施
- 都民の理解と参画
東京で賃貸物件をお探しの方は、併せて確認しておくと安心でしょう。
退去時の修繕・費用負担の内訳
退去の際には、必要となる修繕費用の負担が借主に求められます。
原状回復費用は大きく分けて、時間の経過にともなう劣化と、借主の過失によりできた損傷やシミなどの2つです。
それぞれのケースでの修繕・費用負担の内訳を詳しく解説します。
また、両者の合意がある場合に定めることが可能な特約に関しても、確認しておきましょう。
経年劣化にともなう原状回復
経年劣化による損耗や傷などの修繕費用は貸主が負担するのが原則です。
家具の重みによってできたカーペットの損傷や、ポスターや額縁を貼ったことによる壁の跡などが含まれます。
賃貸住宅契約では、それらの通常使用、または経年変化にともなって必要とされる原状回復費用は、家賃に含まれているとみなされます。
借主の過失による原状回復
一方、借主の過失によって原状回復費用が発生した場合は、基本的に借主が負担を負担します。
タバコで畳や壁紙を焦がしてしまったケースや、発生した結露を放置したがゆえに拡大してしまったシミやカビなどが該当します。
また、注意しなければいけないのは、借主には善管注意義務がある点です。
善管注意義務とは、借り物である物件を大切に扱い、注意を払って利用することを意味します。
詳しい内容は下記の記事でも解説しています。
両者の合意に基づく特約
民法で定められている「契約自由の原則」に基づき、両借主と貸主の合意が得られた場合には、自由に特約を定めることも可能です。
借主側に特別の負担を課すための特約が認められるためには、以下の3つの基準を満たす必要があります。
- 特約の必要性があり、客観的・合理的理由が存在すること
- 賃借人が通常の範囲を超えた修繕費の支払いを認識していること
- 賃借人が義務負担の意思表示をしていること
特約が定められていない場合でも、賃貸物件を退去する際には、借主が踏むべき手順があります。
一戸建て賃貸の退去の流れや、ポイントをまとめた記事も参考にしてみてください。
>>一戸建て賃貸から退去したい!流れや損をしないためのポイントについて解説
入居中の修繕・費用負担の内訳
退去時のみならず、入居中にも物件の修繕費用負担が発生する場合があります。
入居中の修繕やその費用負担は、正しい知識を持っていないとトラブルになりかねません。
居住に影響を及ぼすような大きな修繕と、小規模な修繕に分けて解説します。
また、知っておくと安心な、小規模修繕の必要を見越して定めることができる特約もご紹介します。
居住のために修繕が必要になった場合
経年劣化で生じた不具合によって、居住に著しく影響する場合の修繕費用は、基本的に貸主が負担します。
生活を揺るがすような大きな不具合が発生してしまったら、賃貸契約を結んでいる居住者の立場では対応しきれないからです。
ただし、借主の過失により入居中に修繕が必要な際は、借主に修繕費用を負担する義務が発生します。
小規模な修繕が必要になった場合
生活をするなかで、小規模な修繕が必要なシーンは多いでしょう。
比較的費用負担の軽い、小規模な修繕に関する特約を借主と貸主の間で定めることができます。
本来は貸主に義務付けられている修繕を、オーナーの承諾なしに借主が迅速におこなう権利を付与したものです。
ただし、借主が修繕をおこなう場合は自己負担となるため、修繕の義務はありません。
東京ルールのポイント
ご紹介した東京ルールは、居住用の賃貸物件のみに適用される条約であるのがポイントです。
居住目的以外の事業用・店舗用の賃貸は含まれません。
また、東京以外のエリアでも参考にされることが多いため、地域に関わらず東京ルールを知っておくメリットがあります。
東京ルールをしっかり理解するために気を付けたい2つのポイントをご紹介します。
事業用・店舗用の賃貸には適用されない
東京ルールは、不動産に関する知識が乏しい借主の立場を守る目的を持っている条約です。
東京ルールが適用される物件は、居住用の賃貸物件に限られており、事業用・店舗用の物件は対象になりません。
居住目的で賃貸を契約する借主の安全を守る、東京ルールにしたがって、仲介に入る不動産会社は、次の4点を通知する義務が課されます。
- 明け渡し時の原状回復の内容
- 入居期間中に必要となる修繕内容
- 貸主との間で結ぶ特約条項
- 修繕・維持管理に関する連絡先
東京以外でも意識するべきポイントである
東京ルールは、国土交通省の『原状回復をめぐるトラブルとガイドライン』に基づいて作成されています。
原則的には、東京ルールの適用範囲は東京のみですが、トラブル防止に高い効果が期待されているため、他の都道府県でも参考にされる場合があります。
賃貸物件を探している際には、知っておいて損のない条約です。
>>【最新】東京で一戸建てに住むならココ!人気のエリアをご紹介
一戸建て賃貸探しは、「こだて」賃貸にお任せ!
今回は、気になる方も多い東京ルールをご紹介しました。
賃貸物件でのトラブル回避を目的に制定された東京ルールは、他のエリアでの不動産契約でも参考にされる場合があります。
しっかりと規則を確認してから物件探しに移れると安心ですよね。
「こだて」賃貸でも、多くの一戸建て賃貸物件をご紹介しています。
気になる方はチェックしてみてください。